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保管No-106

              bakuのブログ ある日の風景(019)
膀胱結石・入院日記(2018.春)                 (ameblo 2018.04.07 掲載)
2018.04.07掲載

1日目・入院
…花待ちの巷羨む我が身かな…
 巷は寒さも一段落。桜の便りを待つばかりという季節の膨らみの中で、我が身には別のものが膨らんでしまい忘れた頃にという災難が降りかってしまいました。
 そうなんです。膀胱結石の除去手術を受けるために、3月のとある日私は入院する羽目に……。


2日目
…願わくは花の他なる猫柳…
 西行のような境地にはまだまだ未熟だし、花言葉が自由の猫柳に倣って、早くこの不自由から解放されたいものです。何せ結石が挟まると激痛が起こるので、夜間も含め半強制的に2時間おきに緩やかに…がモットーでしたから。

3日目
…花も咲く人は死ぬまでまさかかな…
「時と災難は誰にでも臨むが、人間がその時を知らないだけだ」…旧約聖書?
 人生の三つの坂のまさかにはこの言葉も当て嵌まるけど、まさかと思うような良いことだって起こるのです。人間死ぬまで夢や希望を持つべきだと思いました。

4日目・退院


結石や術後花見かお茶の水 先ずはともあれチョロチョロと(詠み歌)
…久方の情に触れて歳忘れ まさか艶ある入院日記… (短歌)

「~~四谷赤坂麹町 チャラチャラ流れるお茶の水 粋な姉ちゃん~~」
 寅さん映画の啖呵買(たんかばい)です。
 担当医の先生から、管が細いので出口を削りました。どうですかと言われたので、華厳の滝とは言えませんがお茶の水くらいと答えました。
 これで花見も、いや団子も楽しめるし、勢いより先ずは痛みと不自由さから解放されたことが嬉しかった。それに思いがけない○○さんと、心温まるまさかの触れ合いもありましたので……。


以降は、お一人様ドタバタ入院日記です。

 1日目

 今回の入院騒動は、健康の為にと始めた自己流室内体操の仮想ジョギングが原因らしいのです。
 数日間左腰の痛みを伴ったので運動による揺れで腎臓から結石が落ちたと理解し、この時はまだ余裕の想定内ですが……。
 経験上では8mm位を以前に、今回も5mm2個の結石を自己排出してしめしめと思っていたわけです。

 しかし残りの1個が鬼門でした。再度水分補給して、もう一丁と力んだ瞬間、そやつが大きすぎて、尋常でない痛みで腰が砕けるように身もだえてしまいます。
 健康に良かれと始めた体操なのに、何と皮肉な事でしょう。
遂に私は、膀胱結石の除去手術を受けるために3泊4日の予定で入院する羽目となってしまったのです。

    
 病室は窓際で眺めは良いのですが、東病棟と言う事で富士山は拝めません。
 入室前の打ち合わせするデイルームから、富士山が目の前に迫るように見えていたんですけどね……。気儘我儘な小生と言えども、流石にカメラは出せませんでした。

 入院・手術は14年振りで体を切開するものでもなく、内視鏡と破砕器具を挿入して行うものなので、性懲りもなくちょっと舐めてます。
 実際命に係わるものでもなく自由に歩けるわけですから、近親者に34日のちょい用だと言って、保証人の許諾を貰って来たわけです。
 当日の担当看護師さんが決まり、手術の付き添いの家族さんはと言うから。居ません、迷惑を掛けたくないので断りました。
 そう言うと看護師さんの態度が妙に優しくなって、私の花粉カットゴーグルの内の覗いて、花粉症ですか。可哀そう、目が潤んでいる。などと母性に触れちゃって結果オーライみたいなんです。
 そう良いように解釈するそばから、万が一、家族の方に病院が連絡する時に、状況が分かるようにしておいてくださいとしっかり言われてしまいました…(苦笑)

 仕方なく弟に再連絡して、命に別状ない手術を受ける旨と先ず電話が行く事は無いから心配しないように。また義妹には言わないようにと固く彼の心配を固辞しました。
 この程度の事で仕事を持つ身の義妹を、近くならともかく遠路駆けつけさせるには忍びなく、日ごろ気儘暮らしだ、やれ結果お一人様はそんなに悪くは無いなどとほざいている小生の沽券に関わる。何て、私の猫脳がそう申しましてね。
 その点ラッキーな身の上でもありまして、担当の看護師さんが優しく対応してくれそうなので、まあこれで良かったのです。

2日目
手術当日の朝。麻酔科の医師が病室に来て、私の持病(頸椎と心臓)を事前カンファレンスで、脊椎麻酔(下半身麻酔)が望ましいとなったと伝えられたのでこれを承諾しました。
 次に手術室の看護師さんが病室に現れ、手術中に聞きたい曲があればと言うので、持参のウォークマンから来生たかおをリクエストしました。術中に好きな曲を聴けるなんて、その時点でリラックス効果を感じてしまう単純な私…(笑)

 手術は9時半から、痛み止めと脊椎麻酔から始まりました。以前に脊髄に造影剤を入れるCT検査を受けた時と同じでそれ程痛くなく、手術の音が聞こえるのが嫌で、眠くなる薬の投与もお願いしました。
 下半身の麻酔が利くと同時に、好きな曲を聞きつつうつろな状態となり痛みもありません。いい気分のまま1時間半の予定も30分早く終わり、手術はあっという間という感じでした。

 しかし、首痛・腰痛持ちにとって、地獄はこの後でした。
 意識のある状態で、絶対安静が午後3時まで4時間。ベッド角度15度までと仰臥位(左右の横向きOK)の安静条件が翌朝6時までと決められました。
 右手に点滴、左手に酸素量測定器具、体には心電図と股間には挿入チューブ。こんな状態で麻酔が切れ始めると、徐々に首痛と腰痛に襲われるのです。

 それでも皆さんの夕食が終わるころまで我慢できたのですが、夜半過ぎると横向きの態勢になり体を丸めても腰痛は治まらず首も増々痛くなってまって……。
 何時もであれば収まる痛みが治まらず、持病の腰痛の悪化に疑いを持つと、想定外の事態に弱い私は、夜勤の男性看護師くんに多大な迷惑をお掛けしてしまうのです。
 彼には、枕を柔らかいのに変えて湿布を貼ってもらったり、座薬を入れて貰ったりしたのですが、結局外が白むまでこの痛みに悩まされ、私の焦りは起き上がった時に腰痛から解放されるかどうかの一点に絞られております。
 もし、起き上がってもこの腰骨の滑るような痛みが取れなかったら、そう思うと一寸先が真っ暗で不安は募るばかりでした。

 推定午前6時ごろです。
 女性看護師さんが見回りに来た時、神にも祈るような気持で起き上りの許可を貰うと、器具の装着状態などお構いなしに一心不乱で体を起こします。
 ベッド角度も最大限に上げて、体を持たれかけ力が抜けると強い腰の痛みは、軽い痺れと痛みまで大幅に軽減されたのです。
 首の痛みは枕を変えてから既に改善されており、これらの不安から解放されるて無事生還をやっと実感しますこの時は涙がこぼれるほど嬉しかった。

 一般的に腰痛は動くと痛いのが本来で、じっとしていて痛みを感じるものは悪性と言われますが、私の場合は悪性が疑われず、寧ろ体を起こし屈伸をした方が断然楽になる不思議な症状なのです。一体どうなっているのでしょうかね……。

 そして痛みから解放されると次は退院です。
 私はベッドから窓越しに、2階駐車場に止めた自分の車を確認しようとしたのです。しかし、ある筈の私の車が見当たりません。
 それはまだ、女性の看護師さんが一連の私の様子を見守る最中の事でした。
”あっ、俺の車が無い。あそこに止めた車が無い。手術の朝には有ったのに僕の車が無い“ と、
 医療器具装着のままベッドに急に立ち上がったので、看護師さんが悲鳴にも近い声で、”危ない。駄目です。止めてください“ と制止されてようやく我に返ります。
 落ち着こうにもまだ興奮冷めやらずで、聞かれた場所・車種・色・ナンバーを言っても、自分でも理解できない日本語になっています。

 応援要請なのか、一晩中お世話をかけた看護師君が現れる頃には私も平静を取り戻して、車を停めた場所などをなるべく正確に伝える事が出来ました。
 すると彼、失礼にも私を見て急に笑うのです。
 盗難ならドアを開けた瞬間凄い音がして、すぐそばにある中央監視室が気付かない筈がない夜勤は人数が少ないから、日勤が入る9時になったら僕が見てきてあげるからと言うのです。
 彼の話は理路整然としていてその通りだと思いつつ、私は “そうだね。無いもは無いわけだから。今騒いでも始まらない。確認だけよろしく頼むね” と言葉は冷静を装いますが……。

 内心は “え、私がなくなったと思った車は、同車種の他人の車と言う事。で、この大騒ぎ” 穴が有ったら入りたいほど、私は急に恥ずかしくなっていました。
 その上彼が、〇〇さん。手前から二番目と言うけど、それなら療養型病棟の影になってここからは見えない。と言うのが決定的駄目押しになっちゃって、もう恥ずかしくてたまりません…(大汗)
 そして10分も経たないうちに彼が戻って来て、ほら言った通りですよ。ここからは見えないけど、〇〇さんの車しっかり有りますよ。遠くからでナンバーまでは確認できないけど、手前から二番目に〇色の車雪をかぶって止まってます。
 この時から彼は年老いた親戚の小父さんでも諭すような態度になり、私は私で、恥ずかしさよりも彼が頼もしく見えて、この先は自分に縁のない親子関係を体験するみたいな良い感じになっちゃって……
 それにしても、あぁー、何という勘違い。この騒動は午前5時頃だったみたいです。
 
小声を通したつもりですが、病室の皆様、早朝からお騒がせして申し訳ありませんでした。


3日目
朝食前には挿入チューブを抜いて貰えました。
 医師から出血が多いようですねと言われ、私がちょっとだけ暴れたと言うと、笑いながらそうですかとチューブを引っこ抜かれた時が、一連の手術の中で一番痛かった…(笑)

 そして……。恥ずかしい騒動も収まればもう過去の事。今日も私が担当しますと日勤の看護師の○○さん。含み笑いから今朝の騒動を聞いたようですがそれはそれ。
 友人の指摘で、ちょっと変かなという自覚も頭をかすめますが、既に知らぬ、存ぜぬ、を通してます

 看護師の○○さんは朝食を運んできてすぐ冷蔵庫から、ふりかけに刻み昆布とワカサギの佃煮を出して、まあ、美味しそうと言いながらお膳に上げてくれました。
 昼食を食べて点滴が終わると100%自由になりました。
 そして夕方。○○さんが挨拶に来て、3日間同じ患者さんを担当するのは珍しいんだよ。雪が大分積もっちゃったけど、今日より明日の朝の方が凍結して危険だから、車の運転気を付けてね。と言ってくれました。
 そうか、○○さんとは縁が有ると言う事かもね。と私が言うと、でも同じ病気で戻って来ても喜べないなと言うのです。

 アッシはもう何と言うか、何時ぞやの追体験をしてるようで、それだけで嬉しくなっちゃって。
 しかし単なる好意を示したものでそれ以上は無いと思うから欲を出さず、
 
右の腎臓に産まれたての結石が二つ有るようだけど、今度は大きくならないうちに自己排泄しなきゃ。それでもまた来たら面倒見てねと言ったのです。すると○○さんは明るい声で分かったよ。無理しないようにお大事にと言うから、私は心からありがとうと言いました。

 数回血尿が出た事を後で知らせた時、だから流さずに事後の状態を私に見せてと言ったでしょうと地団太を踏む○○さんの顔が目に浮かぶと可愛くてたまらず、
 折角仲良く成れたのにこれで会えないと言う現実は、お一人様に慣れた私の心を揺さぶり切なくするのですが、

 まさか病院でという思いがけなさが、明日への希望を繫いだようです。
 二度ある事~~の諺もあります……。入院手術は嫌だけど、こういう触れ合いは何度あっても嬉しい。神様仏様、お一人様の私をこれからもどうぞ宜しく…何てね(笑)

4日目・退院

    
 昨日からの雪は夜半過ぎ雨に変わったようですが、外はこの通りの銀世界です。右の写真はデイルームから富士山を撮ろうとしたのですが、生憎その姿は厚い雲の中です。肉眼では小山の左あたりに麓のシルエットが見えていました。

 朝食後、お世話になった担当医の先生から、退院後の注意点や緊急の場合の退院証明書などを渡されました
 これで一連の結石騒動も一件落着。後日49日のX線検査で、全て終了の運びと相成りました。


では、今回はここまで。
お付き合い有難う御座いました。


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