ビデオNo-001 (4分31秒) |
小説『箱庭の恋』 プロローグ ・ 最後の通勤 … その一 ⇐ クリック |
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人の心には肯定と否定の相対がありますが、対峙となしてどちらかを押し切るか、それとも合して調和の方便となすか、哲学の心得など無くとも生きる一人の学びとして、もはや良くも悪くもこの男。当の物語の主人公和泉康平に矛盾はなく、あるがままこそ我が人生としている風なのです。 |
ビデオNo-002 (4分28秒) |
小説『箱庭の恋』 最後の通勤 … その二 ⇐ クリック |
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列車が相模湖を出発すると、彼はまるでゆり籠の中にいるような心地よい眠気に誘われました。
武蔵野の丘陵地帯とは違う険しい山並みの中ですが、彼が生まれ育った多摩が無くした自然風景の胎内であるかのように、康平は何か計り知れぬ恵みを感じるようです。
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ビデオNo-003 (4分26秒) |
小説『箱庭の恋』 最後の通勤 … その三 ⇐ クリック |
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列車が藤野を過ぎて上野原に向かうころになると立席の混雑はなくなり、代わりに冷えた外気が康平の座る連結部近くの座席に入って来ました。
そうだな。良い時なんて続かない。彼の思い出はこの隙間風に同調したようです。それは反省のようでもあり単に歳を取るという悲哀なのか、愉快な話では無いのに違いありません。 |
ビデオNo-004 (5分25秒)
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小説『箱庭の恋』 最後の通勤 … その四 ⇐ クリック |
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康平がダークサイドの闇を始めて感じたのは高校生の時でした。凡そ善意の囲まれて生きてきた彼の戸惑いは底知れぬ闇の入口を見ることになるのです。彼は本能的にそれを逃れ克服したはずでしたが、五十を境に再びその悪夢に見舞われたのです。 |
ビデオNo-005 (6分24秒) |
小説『箱庭の恋』 最後の通勤 … その五 ⇐ クリック |
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パレートの法則を借りればいつの間にか、いやしかるべくして、彼は意欲を無くす側に傾いていたという事になるのでしょうか。
力を失う事の悲哀と同時に、歳を取るという事はこういう事か。人が組織の中で経験し大なり小なり立ちはだかる壮年の門と、康平は醒めたもう一つの目で見ている自分にも気付くのでした。 |
ビデオNo-006 (5分54秒) |
小説『箱庭の恋』 最後の通勤 … その六 ⇐ クリック |
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『人間万事塞翁が馬』 とにかく康平は組織人として不適格にもかかわらずどうにか定年を迎え、お決まりながらも祝福の老後の支えも頂くことができました。
彼は自分の辛抱も然ることながら、苦手な組織に属し差引した結果を幸運として感謝を忘れてはならないと、自身の人生訓が偶然とは言えない、照らし合わせをしていたのです。 |
ビデオNo-007 (6分41秒) |
小説『箱庭の恋』 最後の通勤 … その七 ⇐ クリック |
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列車が警笛を鳴らし四方津を過ぎたころです。康平の回顧は輪郭を露わにし、夢の中に引込まれているようでもありました。
大月まであと十分ほどです。康平が見渡す車内には、このところ多いい凶悪事件とは無関係に、平穏無事を当たり前とするもう一方の現実がありました。 |
ビデオNo-008 (10分09秒) |
小説『箱庭の恋』 膨らむ蕾 ⇐ クリック |
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2019.04.13~05.10 ameblo.Instagram.YouTubeに5回分割掲載したものの全編版になります。
康平は近頃、車で買い物に出ても助手席に麗の存在を空想したり、二人だけのドライブや温泉旅行を想像してみたり、もう箱庭の恋に収まり切れない感情を持ち始めていました。 |
ビデオNo-009 (15分52秒) |
小説『箱庭の恋』迷い ⇐ クリック |
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はなさかじいさんは灰を撒いて花を咲かせる妙技を手に入れた。イソップの三本の斧の無欲は箱庭道にも通じるものだが、俺は盲目にも麗という金の斧に夢中らしい。うやうやしく箱庭に咲かせた花は他所で咲かせられないものだろうか……。
康平は眩いくらいの恋慕で胸を焦がしながら、心の擾乱を感じ取っていたのです。 |
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