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小説 『箱庭の恋』 箱庭道・アラカン康平の場合 あらすじ 
和泉康平は東日本大震災の年に60歳定年を迎え、彼はこの年に母親を亡くし、独り身の寂しさから風俗の世界に恋人を擬似的に求めた。
親友の江波周一がこの時空に擬似恋愛を求め箱庭(はこにわ)(どう)(※1)を定義し、お酒の飲めない奥手で歳を取った康平は、立川のエクセレントという風俗店で麗(三枝由美子)と言う、若く美しい26歳女性と運命の出会いを遂げる。
麗には康平の初恋の女性保科(ほしな)玲子(れいこ)の面影があり、偶然の出会いに思えない康平は箱庭道の時空に彼女を誘い込もうとする。
一方麗は事業の負債を元カレに背負わされ既に借金は払い終えていたが、ある女性の紹介で新しい彼と同棲をして約一年が経っていた。
麗は彼が結婚を申し込んでくれればこの仕事を辞め、家庭に入るつもりで彼に精一杯尽くしていたのだ。
しかし彼との仲は良好とはいかず、偶然目の前に現れた康平に何か他の客から感じられない、むしろ普通の出会いに有る初々しさを康平に感じてしまう。
34歳も年上の還暦の康平だが不思議と違和感はなかった。
康平は麗に初恋の玲子への思いを重ねまた彼女に魅了されて、この限られた場所の60分の時空に箱庭の恋の花を咲かせたいと願ったのだ。
麗は康平に優しかった。
れは(じじ)(せん)でも有った彼女が、大好きな祖父に感じる安心感が康平に有ったからかからだった。
ある日康平は麗に、「来世では君と結婚したい。きっと君の存在を探し出してプロポーズするんだ」と、現実に叶わぬ思いの丈の気持ちを来世の結婚にたとえたのだ。
麗は遠まわしに康平が結婚したいと言っているようにも思えたが、歳の差も有るし出会いもこんな場所で彼が本気で言うはずもないと気持に収めた。
しかし、現在交際中の彼氏との中は冷えていく一方で、康平のその言葉が諦めかけていた結婚と子供を作るという女性本来の願いを、会うたびに情熱をぶつけてくる康平に求める気持ちが芽生えていく。
また康平も麗に擬似恋愛では収まらない気持を麗に抱くようになるのだった。

そんな中大手ゼネコンのサプライチェーンに連なる会社の跡取りの友人江波周一から、二人の震災復興案に興味を持った政治家高橋晋一郎を、会社に招き協力を求めるので康平に同席を求めたのだ。
康平の原作に江波が復興案の脚本を描き、高橋が政治の力で実現に向けて動き出すのだった。
康平の夢は鉄道の走る街、特にバリアフリー移動に最適な低床型路面電車(LRT)を有効活用した街創りだった。
三人三様大同小異は有るものの、震災復興とこれからのこの国に夢をかける思いは同じであった。康平は彼らと夢を語り、50を過ぎて失いかけていた生きる気概を取り戻せたような気がした。
それは彼ら三人の夢と、麗と言うかけがいのない存在を得た事にあったのだ。

しかし彼女の現実は人気のある美人風俗嬢で、康平は風俗に通う還暦を過ぎた冴えないオヤジである。
当然取りにくい予約に康平は悩み始める。
会いたい時に会えない不自由さが彼のジェラシーを駆り立てる。
麗も取れない予約に康平が他の()にながれているのではないかと疑心を抱く。
暫くぶりに会えて興奮を隠さない康平に、麗の気持ちも高ぶり珍しく彼女が積極的に彼に自分の気持ちをぶつけたのだ。
こんな絶好なチャンスに歳の差が邪魔するものか、麗が「今日会えるまで、私が何していたのと聞かないの」康平の手を強く握り二度まで言ったのに、康平は優柔不断な態度を取ってしまうのだった。
彼の箱庭と現実の狭間の葛藤が見えない麗は業を煮やし、「変な夢を見たの。相手が黒人だったの」と彼に言ったのだ。
麗に他の男を感じたくない康平は意味の無い嫉妬をした。
麗は想像以上に落胆する康平に申し訳なさを感じてしまう。
康平は家に帰りネットの夢占いでSEXの夢は悪くなく、今の状況を変えたい願望の表れと確認し、相手はあくまでも憧れで実現しないと答えを見つけ、ようやく彼は余裕を取り戻すのだった。
康平も麗も会う度に少しずつ引き合う気持を互いに感じあうのだが、中々二人の仲は一気に進まない。
次に会えた日、麗は康平の見つめる眼差しが一時(いっとき)も離れないのが嬉しくて、今日こそ「正式にあなたと、お付き合いしたいな」と言うつもりだった。
しかし空気の読めない康平の、「君、何かを変えたいんだ。SEXの夢は悪くないらしいね。
ねえ、何を変えるつもりなの?」先日の嫉妬の照れを隠す不要なこの言葉が彼女を混乱させた。
麗は新築のアパートに引越しをしたばかりだった。
それも結婚を望めない彼氏と別れる覚悟で、康平に新たな希望を求めようとしていたのだ。
麗は思い切って康平の背中に「私、結婚したいの。子供が欲しいの」二度言った。
あの時康平が来世で一緒に……と言う思いの丈の言葉が、種火となり今燃え盛る炎と育ち続けていたのだ。
康平は予測もしない麗の言葉に喜びを超えて困惑する。
彼の普段彼女を思う、この人を決して利用してはならない気持ちの裏返しに、デートや旅行を彼女と楽しみたいと希望を確かに持っていたが、康平にとって歳の差を考えれば常識的に結婚は先ず無理であった。
しかし今となっては箱庭に散る花とする覚悟も出来ない。
いやむしろ、結婚すれば全てが叶うのかも知れないと彼は考えもした。
康平は箱庭道の新たな誓いに先ず相手の幸せを願う事に新解釈を見出そうとする。
麗の幸せが自分との結婚以外にないとしたのだ。
問題は康平には持病があり年金しか収入源の無く、一緒になるため彼女に条件を呑んで貰わなければならなかった。

一方の彼らが描いた東日本大震災の復興案の夢は、高橋代議士の超党派の組織構想の破綻により頓挫してしまう。
それでも三人は、失意の中で諦めずに一歩からまた始めようと誓うのだった。
そして康平は、由美子(麗)がこの復興のボランティアを震災直後から友人と三人でしていたことを知り、彼は自分にない彼女の人としての品格に気付くのだった。
それは彼が、そこに穴でもあれば直ぐ入りたい衝動を伴う、言葉などはさむ余地のない絶対的美しさの発見でもあった。


さて巡り合わせたある日の二人の朝には、外に秋の気持ちの良い空気があったのです。
箱庭とは憧れの景色、また自分流の景色を創造する小さな庭園・名勝風景です。
康平は箱庭道の定義で今の自分にう恋愛風景を求めました。麗も諦めかけていた女性としての幸せを康平にかけようとしています。
二人はこの箱庭で恋を実らせ卒業という形で箱庭の風景を現実に描こうとします。
彼等の人生はある意味破天荒(はてんこう)右往左往の道程(みちのり)でしたが、愛する真実の気持ちが通えば人生は何時でもリセットできると、また彼のような人間にとって選択した道は過ちではなかったと、箱庭でも現実でも真剣に向き合う事がやはり大切としたからです
どうやら康平と由美子()の二人の恋は、ミニチュアを飛び出し(じっ)寸大(すんだい)の恋になる気配です
いや恋ではなく、もはや愛情ので結ばれているのかも知れません
でも先の事は誰にも分からない。人生は塞翁(さいおう)が馬ですから。幸運の先には……だから油断が大敵です。
では、二人の恋の行方はどうなるのでしょうか。

※1 江波周一の箱庭道の定義
道と称するからには心構えも当然ある。
(そで)()りあうも他生(たしょう)(えん)と言うが、この縁にはフィジカルコンタクトが必ず有る。
それを通りすがりと流さずに、相手に対する礼儀を取らずして何とすると言うものだ。
その時だけにせよ自分の欲求を受止めてくれた相手に、対価を払えば当然だとすればそれまでの事だが、そう思って行為を繰り返せばただ虚しさが残るだけだ。
康平分かるな、まして相手も血の通った同じ人間だ。感情もあればこちらを見る眼も持っている。
ただ少し違うのはその人生の途中で、不本意ながらこの環境にいる事情があるという事だけだ。

第一に、相手に対し感謝の気持ちを持って接する事。
第二に、相手の情けの行為に「ありがとう」と言葉にする。
そして第三に、その時空に二人の存在しかないと言う気持ちを持つのだ。
男女の仲だから当然相性によって箱庭の恋に発展する、しないは決まる。
自分が気に入っても相手ががればわぬし、その逆の場合も有るのだ。

第四は、思いの叶わぬ相手に対しても、感謝の気持ちは忘れず礼儀を取ろうではないか。
それでこそ道は極まり自らの所作に作法も身に付き、巡り会った運命の相手と存分に恋愛が成立するのだ。
そうなれば二人の精神世界に置いて、対価を払う頂く関係ではもはや無いのだ。
恋から愛さえ生まれる箱庭の空間になる。


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